機能セラミックス
機能性セラミックス、化学溶液法、イオン伝導(固体電解質)、電池、組織制御
エネルギー?環境問題の解決に貢献する次世代高機能セラミックスの創製
研究背景と概要
微構造(組織)の設計?制御はセラミックス材料の機能の向上?創出において足彩胜负彩な課題です.本研究室では,結晶異方性または多孔構造などの原子配列の積極活用から組織制御まで,構造を最大限に活かした高機能セラミックスの創製に取り組んでいます.特に,エネルギー?環境問題の解決に向けたキーデバイスと考えられている二次電池や燃料電池において,主要な構成要素である電解質の高性能化を目指して,高速イオン伝導性セラミックスに関する研究を行っています.
結晶配向制御によるイオン伝導性セラミックスの高性能化
異方的なイオン伝導性を有する固体電解質には,バルクとしてのイオン伝導性が一見低くても,高いイオン伝導性を示す向きに結晶方位を揃えることで,実用レベルの電池用固体電解質材料となるものがあると考えられます.中温域作動型SOFC用の電解質の候補材料であるアパタイト型ランタンシリケート(LSO)はその一例であり,c軸方向に高い酸化物イオン伝導性を示します.開発中の新しい配向セラミックスの合成法により,c軸配向LSOセラミックスの実現を目指しています.
石英ガラス基板上に成膜した酸化ランタンの熱処理により形成したc軸配向LSO薄膜のX線回折パターン
高速フッ化物イオン伝導性セラミックスの開発
革新型蓄電池の候補の1つとして,フッ化物イオンをキャリアとするフッ化物イオンシャトル二次電池が提案されており,その実現に必要な高いフッ化物イオン伝導性を有する固体電解質の開発が課題となっています.固相反応法では得られない準安定相の生成,低温合成,格子欠陥の導入などが期待できるメカノケミカル法の採用,および異原子価イオンのドープによる欠陥制御などを駆使して,新しい高速フッ化物イオン伝導性セラミックスの開発に取り組んでいます.
メカノケミカル法により作製したフッ化物イオン伝導性セラミックスのイオン伝導のArrheniusプロット